ハードコンタクトを作成するには必ず必要なデータがいくつかあります。必ず必要なデータですから、コンタクトレンズ通販などで注文する際にデータ入力に漏れがあると、通販サイトの方ではメーカーに注文ができないということになりますので、注意が必要です。
以下、データの説明です。
BC(ベースカーブ)
ベースカーブは黒目のカーブ(角膜曲率半径)に合わせたデータになります。
日本人の成人の角膜曲率半径はいおおよそ7.80mm前後と言われています。最近は日本人も身体の大きな人が増えてきましたので、現在はもう少し大きいかもしれません。
これは半径7.80mmの円を書いた時に出来るカーブと同じカーブであると言う意味です。
BCの単位は一般的に多いのは0.05mm間隔なので、7.80mm、7.85mm、7.90mm、7.95mmと言うようなイメージになります。中にはレンズの規格で0.05mm間隔ではなく0.1mm間隔と言うハードコンタクトもあります。ハードコンタクトはソフトコンタクトと異なり固い素材で出来ていますので、一つのBCで広い範囲のデータをフォローすることができないため、かなり細かく細分化されています。
通常、人間の黒目はまん丸ではなく元より歪んでいますので、角膜曲率半径と言っても、縦と横でも数値が異なる人がほとんどです。従ってその人の角膜曲率半径は縦のカーブと横のカーブの中間値をその人の曲率半径としています。
そして多くの眼科医の先生方は、その中間値のデータより1段階~2段階程緩やかなBCで処方を出すケースが多いようです。その医師の考え方や好みもありますので、検査をする医師によっても若干採用するBCに差異があってもおかしなことではありません。
つまり角膜曲率半径の中間値が7.80mmであったとしたら、その人の目に処方するハードコンタクトのBCは7.85~7.90mm当たりのデータになると言うことですね。あとは検査の際にテストレンズを目に乗せて、フィッティング検査をしてよりベストなBCを選定することになります。
PWR(度数)
これはパワーの略で度数を表しています。度数の単位は0.25D間隔です。Dと言うのは屈折力の単位を表しています。レンズにはマイナスレンズ(-で表記)とプラスレンズ(+で表記)があります。マイナスレンズは近視を矯正する時に使い、プラスレンズは遠視を矯正する時に使います。ですから注文の際にこの符号を間違えてしまうと全く見えないレンズがお手元に届くことになるので注意が必要です。一例を挙げると-3.00D、-3.25D、-3.50D、-3.75D、-4.00Dと言う感じです。これが遠視用の度数であれば例えば+1.00D、+1.25D、+1.50D、+1.75D、+2.00Dと言う感じになります。
DIA(ダイアメーター:Sサイズと表記することもあります)
これはレンズの直径のことです。ハードコンタクトのサイズは0.1mm間隔になっており、多くのハードコンタクトの場合、標準サイズは8.8mmを採用しています。中にはニチコン(2018年5月に倒産)のように8.9mmを標準としているメーカー、東レのブレスオーハードのように9.0mmを標準としているメーカーもあります。日本人の成人の黒目の平均の大きさが縦11.0mm、横12.0mmですから、いずれにしてもハードコンタクトは黒目よりも小さなサイズのレンズということになります。
以下のデータは乱視用ハードコンタクトや遠近両用ハードコンタクト等、一部の特殊なハードコンタクトにのみ存在するデータです。
CYL(乱視度数)とAX(乱視軸)
乱視用ハードの中でも残余乱視などを矯正する「フロントトーリック」と呼ばれるタイプのレンズには乱視度数と乱視軸度を入力が必要になります。しっかりと眼科で処方を受けたデータのご入力が必要です。
2つのBCを入力するバイトーリック
強度の角膜乱視に対応するバイトーリックタイプのハードコンタクト。角膜の歪みがきついために目の上でハードコンタクトが安定しない等の不都合がでるため、その歪みに合わせたレンズを作成するため、それぞれ弱主径線のBC(歪みが緩やかな方のBC)と強主径線のBC(歪みがキツイ方のBC)のデータが必要となります。
ADD(加入度数)
加入度数は遠近両用ハードコンタクトのみに存在するデータです。メガネで言うと老眼鏡の度数に該当する度数になります。年齢や目の調節力や生活環境などによってもどの程度の加入度数が必要かは変化してきますので、やはり眼科での検査でしっかりとしたデータを確認することが必要です。
通常タイプのハードコンタクトは以上のBC、PWR、DIA(又はS)を組み合わせてデータが出来ています。
各メーカー、各レンズ毎に製作範囲が決められています。いずれのメーカーもハードコンタクトの場合かなり広範囲で製作できるようになっていますが、その中でも標準規格と特注規格に分かれています。
製作範囲外であれば製作することは勿論出来ませんが、規格内だと注文しても在庫をメーカーが保有しているので比較的早く入荷しますが、特注規格になると別途製作することになりますので、やはり1週間~10日前後余裕を持たれた方がいいかと思います。中には1ヶ月近く掛るメーカーもありますので注意が必要です。
また時々見受けられるケースですが、ソフトコンタクトのデータをそのままハードコンタクトのデータに当てはめて注文をする人がいます、ソフトコンタクトとハードコンタクトは素材も異なれば大きさも異なりますので、データの併用、共有はできません。また着脱方法や装用感も全く異なりますので、ソフトコンタクトしか経験のない人がハードコンタクトにする場合には、ハードコンタクトの検査を眼科で受診し、別途処方データが必要になります。